Live positively!

日々の実践と学びの備忘録

メンバーシップ型雇用とクラッシャー上司

クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち (PHP新書)

クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち (PHP新書)

 

 クラッシャー上司を生みやすい会社として、「メンバーシップ型」雇用の日本の企業では、「滅私奉公することが善である」という価値観が共有されやすいため、と説明されている。

ジョブ型とメンバーシップ型

  • ジョブ型では、仕事に人を当てる。
  • メンバーシップ型とは、人に仕事を当てる。

職務範囲は、ジョブ型は明確で、メンバーシップ型は曖昧。

なので、例えば、上司が「納期がキリギリだから、今夜は係長の仕事を手伝いなさい」と言ってきた場合、ジョブ型は、部下は「それは私の仕事ではないからできません」と断ることができるが、メンバーシップ型は断ることができない。

メンバーシップ型は、就職ではなく、就社、と表したほうが実態に近い。 

メンバーシップ型雇用の悪いところ

メンバーシップ型の雇用における正社員の採用は、会社という家庭に新しい家族を迎えるようなもので、その人が持っているスキルよりも、その人となり、所謂「人間力」を評価する。

人間力」なんてものは曖昧で、たいていは「自分の部下にしてもいい人」を選びたがり、その結果、「使いやすい人」「従順な頑張り屋」が多くなる。

だから、メンバーシップ型雇用の日本企業では、滅私奉公することが善であるという価値観が共有されやすく、その価値観にそまっている社員が多い。

それらが根源となって、「会社のためには」残業を厭わず、自分の身を滅ぼしてでも忠誠を尽くさなければならないという考え方を無意識に起動させる。ハラスメント的に過重労働を強要してくる上司は、自分のやっていることは善であり、美徳であるという思いが存在している。

若者は、教育の影響などで、ハラスメントをされても「自分のために正しいことを教育してくれようとしている」と受け取ってしまい、抵抗できない若者も一定数いる。そして、ハラスメントと過重労働の下、ギリギリ耐えながら、恥を忍ぶあまり援助希求ができずに一人で苦しみを抱え込み、あるとき限界点を迎える。

だから、クラッシャー上司が生まれる

クラッシャー上司が部下をネチネチ追い詰めるのは、憂さ晴らしというのもあるが、「メンバーシップ型」雇用であるため、気に入らない部下でも退職させることができないから。終身的に面倒を見る閉じた構造の中で、パワハラが高度に陰湿化してモラハラとして言葉の暴力が振るわれる。

これが欧米などのジョブ型雇用であれば、部下は「辞めます」になる。終身的に同じ会社で働くという発想があまりなく、理不尽な扱いをされた部下は自ら辞めて、その上司を訴える。そのため、欧米の会社ではクラッシャー上司が生まれにくい。